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ステマ規制で口コミ・お客様の声はどう変わった?チェックリスト付き【2026年版】

許諾・法律 公開: 2026年7月4日 約9分 筆者: 野原 琉海(Shinrai開発者)

「お客様の声のページ、このままで大丈夫だろうか」——2023年10月にステマ規制が始まって以来、こう感じている事業者は少なくないはずです。結論から言うと、お客様の声を載せること自体は規制されていません。 変わったのは「どう載せるか」の一部です。この記事では、何がOKで何がNGなのか、実際に処分を受けた事例も交えて整理します。

私は業務効率化に特化したエンジニアとして、お客様の声を管理するサービス「Shinrai」を開発・運営しています。設計にあたって消費者庁の告示・運用基準・Q&Aを一次情報で読み込みました。この記事では、その知見を実務目線でまとめます。

ステマ規制とは何か — まず前提のおさらい

正式名称は「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の指定告示です。景品表示法第5条第3号に基づき、2023年10月1日に施行されました。

規制の狙いは単純です。広告なのに広告と分からない表示を禁止すること。「なりすまし型」(事業者が第三者になりすまして投稿する)と「利益提供秘匿型」(依頼や謝礼の事実を隠して投稿してもらう)の2種類に整理されています。

重要なポイントが2つあります。

  1. 規制の対象は事業者だけです。 口コミを書いた投稿者や、依頼を受けたインフルエンサー本人は処罰の対象になりません。責任を問われるのは常に「表示をさせた側」です
  2. 違反時の措置は軽くありません。 消費者庁から措置命令が出ると、事業者名が公表されます。命令に従わない場合は2年以下の懲役、または300万円以下の罰金です

「口コミを集めること」自体を規制する法律ではない、というのがまず押さえるべき前提です。ここを誤解して「お客様の声はもうリスクだから載せない方がいい」と考えてしまうのは、行き過ぎた自主規制だと私は考えています。

「お客様の声」は規制の対象になるのか — 境界線は運用基準にある

ここが最も誤解されているポイントです。消費者庁の運用基準は、事業者が自社サイトで第三者の声(お客様の声・アンケート回答・口コミ)を利用する場合の扱いを、かなり具体的に示しています。

「事業者の表示」に当たらないケース

運用基準では、第三者の表示を恣意的に抽出せず、内容にも変更を加えず、そのまま引用する場合は「事業者の表示」には当たらないとされています。たとえば、アンケートの回答から無作為に選んだものをそのまま掲載する——これはこれまで通り問題ありません。

「事業者の表示」に当たるケース

一方で、次のような操作を加えると「事業者の表示」と見なされ、規制の対象になり得ます。

つまり分かれ目は「載せるかどうか」ではなく、「都合よく選んだ・切り取った」と評価されるかどうかです。この線引きを知っているかどうかで、同じ「お客様の声ページ」でも安全性がまったく変わります。

実際に何が処分されたか — 2つの事例から学ぶ

抽象的な基準だけでは実感が湧きにくいので、実際に消費者庁が措置命令を出した事例を見ておきます。

事例 何をしたか 何が問題とされたか
医療法人社団祐真会(2024年、ステマ規制に基づく初の措置命令) インフルエンザワクチン接種者に、Googleマップの口コミで星5評価を投稿することを条件に接種費用を割引 「利益提供秘匿型」に該当。割引と引き換えの投稿であることが表示上わからなかった
大正製薬(2024年、健康食品として初の措置命令) インフルエンサーに報酬(現金約1万円・商品約3万円相当)を渡して投稿を依頼し、その投稿の一部を自社サイトに抜粋掲載 依頼した投稿であることを明らかにせず、自社サイト側の表示が「一般消費者にとって事業者の表示と判別困難」と判断された

私が特にお客様の声の実務に関係が深いと考えているのは大正製薬の事例です。インスタグラム投稿自体はPR表記があり問題視されていません。 処分の対象になったのは、その投稿を「一部抜粋」して自社ウェブサイトに転載した部分です。抜粋・転載という、まさに「お客様の声ページ」で日常的にやっている作業がステマ規制の対象になり得ることを示した事例だと私は見ています。

お客様の声の載せ方はどう変わったか — 実務チェックリスト

以上を踏まえて、実務で確認すべき項目をチェックリストにしました。既存のお客様の声ページがある方は、まずここから照らし合わせてみてください。

【お客様の声ページ ステマ規制チェックリスト】

□ 掲載している声は、依頼して書いてもらったものか、
 自然に届いたものかを区別して記録している
□ 依頼して書いてもらった声には、謝礼・割引などの
 見返りの有無を記録している(見返りがあれば依頼の事実を明示する)
□ 掲載時に本文を編集した場合、「趣旨を変えていない」と
 説明できる(原文を保存している)
□ 悪い評価だけを除外する運用(レビューゲーティング)を
 していない
□ 「良い点」「悪い点」の両方がある回答から、
 良い点だけを切り出していない
□ 星の平均などの集計値は、実際の集計結果と一致している
□ AIで文章を整えた場合、整形前の原文を残している

このチェックリストで特に見落とされがちなのが、「依頼して書いてもらった声」の扱いです。私が集めた声には「お願いして書いてもらったもの」と「向こうから自然に届いたもの」が混在しているケースが多くあります。この区別を記録していないと、あとから「これは依頼した声だったか」を説明できなくなります。掲載許諾の取り方そのものについては、お客様の声の掲載許諾はどう取る?同意文テンプレート付き完全ガイド【2026年版】で台帳の作り方まで解説しています。

もう1つ、AIによる整形についてです。私はお客様の声を扱うサービスのAI整形機能を設計したことがありますが、設計上「原文は必ず保存し、整形済みであることが分かる形で管理する」というルールを外していません。ステマ規制は表示の内容そのものへの規制なので、AIで整えた表現が「本人が言ってもいないニュアンス」を足してしまうと、規制と無関係に信頼性の問題を抱えることになります。この考え方は、ステマ規制対応というより誠実さの問題だと私は捉えています。

Googleの口コミを転載する場合の注意点

自社で集めた声だけでなく、Googleマップの口コミを自社サイトに転載しているケースもよく見かけます。この場合、著作権・Googleの規約に加えて、ステマ規制の観点も加わります。

星の評価だけを恣意的に選んで「お客様満足度が高い証拠」として並べる、あるいは低評価の口コミが多いのに好意的なものだけを抜き出して掲載する——これも「恣意的な抽出」に当たり得ます。Google口コミの転載方法そのものについては、Google口コミをサイトに載せる方法3選|手順と注意点【2026年版】で、公式ルート・本人許可・自社収集の3パターンを比較して解説しています。

「うちは口コミサイトの転載はしていないから関係ない」と思うかもしれません。ただ、自社フォームで集めた声も、抜粋・編集の仕方次第で同じ論点が及びます。転載か自社収集かは関係なく、「都合よく切り取っていないか」という一点がすべての声に共通するチェックポイントです。

業種別に見る注意点

業種によって、注意すべき比重が変わります。

私がこれらの業種を見てきた中で共通していたのは、規制を意識しすぎて声の掲載自体を控えてしまう事業者が一定数いることです。規制が求めているのは「表示の透明性」であって「声を隠すこと」ではありません。萎縮するのではなく、依頼の有無と原文を記録する運用に切り替える方が、結果的に声の量も安全性も両立できると私は考えています。

よくある質問

Q. お客様の声を載せること自体が違法になったのですか? なっていません。規制対象は「事業者の表示であることを判別困難にする表示」です。自然に届いた声をそのまま載せる分には、これまでと変わりません。

Q. 「モニターに商品を無償提供して感想をもらう」のは問題ですか? 無償提供という利益提供があった上で投稿してもらう場合、その事実を示さないと「利益提供秘匿型」に該当し得ます。感想を依頼する際に「ご協力いただいた旨を明記させてください」と伝える運用が安全です。

Q. 誤字を直すくらいの軽微な編集も止めた方がいいですか? 誤字修正など趣旨を変えない範囲の編集は、運用基準上も問題視されていません。危険なのは「良い部分だけ抜き出す」「意味合いが変わる編集をする」ケースです。編集前の原文を保存しておけば、あとから趣旨が変わっていないことを示せます。

Q. すでに掲載しているお客様の声を、今から全部見直すべきですか? まずは「良い評価だけを恣意的に選んでいないか」「依頼した声と自然な声を区別できているか」の2点だけでも確認してください。全件の作り直しよりも、この区別を記録として残す運用に切り替えることの方が優先度が高いです。

Q. 措置命令が出ると、具体的に何が起きますか? 消費者庁のウェブサイトで事業者名・違反内容・命令内容が公表されます。金銭的な罰則は命令に従わない場合に限られますが、社名の公表そのものが事業への影響として大きいと考えるべきです。

まとめ — 規制が変えたのは「載せ方」であって「載せること」ではない

ステマ規制によって変わったのは次の3点に整理できます。

  1. 依頼して書いてもらった声は、依頼・見返りの事実を区別して記録する
  2. 抜粋・編集は、恣意的に良い部分だけを選んでいないかを説明できる状態にする
  3. 原文の保存が、編集の正当性を証明する唯一の手段になる

お客様の声そのものは、これからも小規模事業者にとって最も強い信頼の材料であり続けます。規制を怖がって声を下げるのではなく、「誰の声を、どう扱って載せたか」を記録できる状態にしておくこと——これが2026年時点での、最も現実的な向き合い方だと私は考えています。

番頭より

この記事の内容 — 声の収集フォーム、掲載許諾の記録、原文の保存、サイトへの表示 — は、Shinraiがひとつの台帳としてお引き受けします。無料で始められます。

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